参列者が限定された葬儀
「家族葬」という言葉はだいぶ定着してきましたが、家族葬ってどんなもの? と聞かれても、明確な定義があるわけではありません。
あえていうなら、「家族を中心にして、少人数で行う葬儀」となるでその大きな特徴は、参列者が限定されていることです。
一般のお葬式では、関係者に広く知らせて参列してもらいますが、家族葬の場合は、家族、親族、ごく親しい友人など、15~30人くらいに範囲がしぼられます。
なかには、その名のとおり、家族のみで送る場合もあります。
葬儀は自宅でもできますが、自宅では隣近所や町内会に知らせないわけにはいきません。
そこで、故人の遺志を貫くために、斎場(葬儀専用の式場)で葬儀を行うことが多くなりました。
遺体は病院から直接斎場に運ばれるケースがほとんどです
式の内容は、とくにきまりはありませんが、仏式で行う人が9割です。
従来の葬儀の小規模のもの、簡素化したもの、参列者の少ないものと考えるといいでしょう。
もちろん自由葬(無宗教葬)でもよく、故人らしい、自由な形の葬儀にすることもできます。
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一般的な葬儀との違い
参列者が少ないことのほかは、これが同じでこれが違うと、いちがいにはいえませんが、特徴的なことは、以下のとおりです。
①都市部の核家族が中心
注目されてはいるものの、実際に家族葬を行うことが多いのは、都市部の核家族です。
それ以外の地域では、葬儀は周囲の人たちが協力するものという慣習が生きているところが多いようです。
②葬儀後死亡の通知を出す
家族葬の場合は、参列者を限定するため、葬儀後(2週間以内くらい)に、それ以外の関係者に死亡を知らせる通知を出します。
一般の葬儀では、葬儀の前に死亡を知らせます。
③祭壇はシンプル
祭壇や焼香台は、一般の葬儀に比べると、おおむねシンプルです。
なかには白木の祭壇をやめて、花で美しく飾った柩の前に焼香台だけを置くこともあります。
④香典、供物、供花
辞退することもあります。
その場合は、葬儀の日程を知らせるときに、あらかじめ「こういう形式の葬儀ですから」と、失礼のない形でお断りします。
断りがない場合は、参列者は一般葬儀と同様に香典を持参します。
⑤会葬礼状、返礼品
一人ひとりに直接お礼が言えるので、会葬礼状は出さないことが多く、返礼品はケースバイケースです。
オリジナリティーのある返礼品にカードを添えて渡すこともあります。
「密葬」と「家族葬」の違いは?
かつて「家族葬」という名称がなかったころ、家族葬のことを「密葬」といっていた時代もありましたが、本来、密葬と家族葬は違うものです。
密葬とは、後日に本葬を控え、それまで遺体を置いておけないので、火葬の前に内々で行う葬儀のことです。
あくまで「本葬」に対する「密葬」なのです。
たとえば会社社長が亡くなり、社葬を10日後に行うという場合や、年末年始で葬儀ができないときに密葬を行います。
著名な人だと密葬でも、100人以上参列することがありますが、あくまで本葬とは違うものです。
一方、家族葬には「本葬」はありません。
家族葬そのものが本葬なのです。
ただし、家族のみで家族葬を行ったあと、友人・知人を招いて「お別れ会」を開くこともあります。
家族葬に関して知りたいこと
葬祭業者に寄せられる電話相談の質問で多いものです。
①どの葬祭業者でも家族葬に対応してもらえるのか?
②宗教儀式はしなければいけないのか?
③呼ばなかった人への対応は?
④年忌法要はしなければいけないのか?
⑤反対する親族への対応は?
⑧家族葬の費用は?
お別れの時間・空間を大切に
心ゆくまでお別れができる
いまの多くの葬儀は、義理の参列者は少なくなったとはいうものの、生前の本人をまったく知らない参列者が半分以上を占めるというケースも少なくありません。
これに対して家族葬は、故人をよく知る親しい間柄の人ばかり。
心から故人を弔う気持ちにあふれ、大切な人を失った悲しみの気持ちを共有することができます。
また、規模が小さく、参列者の数が少ないので、一般の葬儀と同じ流れで式次第が進行しても、時間の余裕が十分あります。
ですから、ゆっくりと、心ゆくまで故人とのお別れができるのです。
遺族の心身の疲れが少なくてすむ、というのも家族葬のメリットです。
一般の葬儀では、遺族は会葬者への応対や手伝いの人への気配りで疲れ果てることが多いもの。
家族葬の場合は、親しい人たちのなかで気持ちも癒され、看護などで疲れた体の負担も軽くてすみます。
納得と充足感のある葬儀にできる
そのほか、次のようなメリットもあります。
①納得いく費用のかけ方ができる
人数が少ない分、飲食費などは安くなります。
また、祭壇はいらない、通夜振る舞いの料理はいらないなど、必要ないものの費用は切り詰め、こだわりたい部分にお金をかけることもできます。
②自分たちの手で見送ったという充足感をもてる
葬儀の内容も、段取りも、家族で考え、葬祭業者と話し合いながら決定していくため、自分たちの手で見送ったという充足感をもつことができます。
その結果、遺族が死を受容しやすくなります。
③参列者にも満足してもらえる
ぬくもりが伝わる葬儀に、列席者も「いい葬儀だったね」と満足して帰ってもらえるでしょう。
家族葬のデメリットは
一方、家族葬にはデメリットもあります。
①周囲の人に理解を得られないことがある
新しい形の葬儀なので、世間体を気にする親族に反対されることも多いようです。
また、参列者は厳選して声をかけるのですが、そのリストからもれた友人などから、不満の声があがるかもしれません。
親族には、あれば、エンディングノートなどを見せ、故人の強い意志であること、生前から家族でよく話し合った結果であることを、わかってもらいましょう。
少し日をおいて四十九日のころに、友人を招いて「お別れ会」を開くのも一案です。
②あとから弔問の人が次々と煩わしいことかもしれませんが、ものは考えよう。
個別にゆっくりと話をすることで、遺族が知らなかった故人の一面を知ることもでき、心が癒されるという効果も。
③無宗教葬にした場合、お墓は?
寺院墓地にお墓がある場合は、納骨を許可してもらえないこともあります。
自宅で家族葬をしたい
かつて葬儀は、自宅でしていました。
狭くても、なんとか工夫して柩や祭壇を安置したものです。
家具を移動するとできないことはないので、葬祭業者に相談してみましよう。
マンションでも、リビングと和室が間続きになっているなら可能です。
ただし、集会所のあるマンションなどでは、自室での葬儀は禁止されている場合もあります。
エレベーターに柩が横に入らない場合、また玄関のドアと外廊下の幅や角度で、柩が横に出せない場合はできません。
家族葬は、近隣には知らせす行うので、自宅で行う場合は、その対処方法も考えておく必要があります。